WEBセミナー ホスピスのこころ

第11回 「緩和ケアとボランティア」

2017-05-16

病院ボランティアというのは、病院の中で医療者と協力しながら、患者さんやご家族が居心地良く過ごせるように奉仕活動をすることを言います。古くは病気の旅人を介抱した「ボランタリズム」を語源としており、そうせずにはいられない気持ちで病人のお世話をしたことから、自発的な活動とされています。

当院では2004年から、「ボランティアグループ“せら”」の名称で緩和ケア病棟での活動を開始しました。現在メンバーは22名で、緩和ケアだけはなく病院全体の活動へと幅を広げているところです。活動はお茶会・行事のお手伝い・音楽演奏・裁縫・飾り付け・傾聴・高齢患者さんへの寄り添い・リフレクソロジー(マッサージ)・車いすの整備・花壇や畑の整備など多岐に渡っています。

患者さんやご家族の方は病気を抱えて、日常とは違う病院という環境で過ごさなくてはなりません。不安な気持ち、辛い思いをお持ちの方もいらっしゃいます。医師や看護師にはなかなか話せない悩みを抱えている方もいらっしゃいます。一方で、状態が落ち着いた患者さんは、いわば単調な日常を繰り返しているということもあります。

普段着に揃いのエプロンをつけて来られるボランティアさんは、患者さんやご家族と、医療者との中間の立ち位置でいてくださり、今日の外の天気や街で何が流行っているかなど、「普通の日常生活の香り」を院内に運んできてくれるのです。患者さんも常に病気のことや心配をしているわけではないので、医療者ではない普通の人との会話を求めていらっしゃることがあります。

 

ボランティアの方たちが病院の中に「社会の風」を吹き込み、温かく居心地のよい環境作りの一端を担ってくださるおかげで、一時でも病気のことを忘れ「ほっとする」空間を感じられるのです。それは職員にも同じことが言えるのです。

また緩和ケアの場所と言うのは、時間が有限であることを厳しく思い知る場でもあります。今日聴きたいと思う音楽を奏でること、今日飲むコーヒーは一番おいしいコーヒーであること、をボランティアさんたちは心に秘めながら行動しています。

当院のボランティアさんは特に資格要件はありませんが、なぜか「看護師さん」が数名いらっしゃいます。

現場で仕事をしているときはとにかく時間に追われて業務を片づけることになりがちですが、本来はもっとじっくり患者さんに関わり、寄り添いたいと思っている人がたくさんいるのです。ここではそれが存分にできる、人のために優しい気持ちでいられるというのです。だから患者さんに寄り添っている「看護師」さんたちはとても優しい顔をしています。

それからご家族をここで亡くされたご遺族の方も数名含まれています。家族としてボランティアさんと接していた経験から、今度は他の人の助けになれば、という思いでいらしているのです。

ボランティアというのは、人のために何かお役に立てればという自発的な思いで始める方が多いのですが、私は当院のボランティアさんたちを見ていると、人のためというだけではなく、ご自身が仲間とともに時間や体験を共有し、楽しいと感じられることによって、続けられるのではないかと思っています。当たり前かもしれませんが、これからもボランティアさんたちが仲良く心地よく活動していただけるようにと願っています。

 

看護部長 工藤昭子

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