札幌南青洲病院 看護部

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花壇

畑と看護と人生と

昨年(2016年)1月にここに着任してから、もうすぐ2年が経とうとしています。早いものです。
ここへきて自分がしたことの一つが花壇と畑です。したことと言っても、ホンの一部分ですけど。

自宅で家庭菜園をしている師匠と、園芸療法士として活躍している方が、ボランティアとして全体の計画や準備をしてくださり、職員と私が日常の水やりなどを行う。時々患者さんに関わってもらって種を植えたり受粉を手伝ってもらったりする。実を収穫し、栄養課で調理してもらって、職員も患者さんもいただく。そこにはうれしい楽しいのコミュニケーションがあります。
2年でこのサイクルができて、一番楽しませてもらったのは実は私なんじゃないかと思います。

先日園芸療法士の土角さんの「花と緑で人を支える園芸療法」と題した講義を聞いて、自分なりに感じたことを書きたいと思います。

「園芸療法」とは植物や植物のある環境、植物を育てる活動を日々の暮らしに取り入れ、心身機能の改善・社会参加・認知症予防・介護予防などに活用する方法です。その効果は気分転換やリラクゼーション、集中力の改善、季節や時間の感覚を取り戻すこと、基本的欲求の充足、達成感、満足感、コミュニケーション能力の向上など多岐に渡ります。
患者さんとご家族から、感謝の言葉をいくつもいただいたのも、活動を続ける大きな励みになりました。

水やりのために外へ出て、花を観察する。ほんの10分位の時間ですが、ただそれだけでずいぶん気分転換になりました。
心が穏やかになり、花を愛でて実を収穫するということがずいぶんと心の栄養になった気がします。
日々の様子を観察し「病気かな?」「水が足りないかな?」「日差しが強すぎるかな?」とアセスメントして行動するのは看護ケアにも似ています。看護は観察に始まり観察に終わるというけれども、日々見ている中で「あれ?」と気づくことが大事です。

芽が出て花が咲いて、やがて朽ちていく姿を見ることは、人の一生にもつながります。
咲き終えて落ちた花殻を拾いながら、人間もいきいきと活動できる時間は限られており、今を大事に生きて身体の声を聴き、変化への備えをして行こうと思いました。
こんな風に、植物と関わることは生きることそのものへの深い思索とつながっていました。
もっと若いときからそのことに気づいていたら、生き方は変わっていたかも知れません。
     

土角さんの講義を聞いて来年の活動に追加したいことができました。
ひとつは、土づくりのところから患者さんに関わってもらおうということ。
それから夏野菜の収穫は主に私がやっていたのだけど、この満足感を患者さんに味わってもらおうということ。
そして新病院に移転したら・・あんな花壇、こんな畑・・と妄想は広がるばかりです。

畑が仕事の一部なんて看護部長は、おそらく日本中探してもそういないのではないかと思います。
それを許してくれている、理事長・院長に感謝してます。
     

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
やったことがないことでも、いい導きがあると興味が持てるね。

 

病院だけど、もっと普段の暮らしを取りいれたいのです

「あれは俺の植えた葉っぱか?」△△さんが、窓の外を指さしています。
ーはい、そうですよ。
「ちゃんと水、やってくれるんだろうな。それが大事なんだぞ」
ーはい、わかっております。ちゃんと毎日見に来て水やりしますから。

5月10日水曜日、4Fのサンルームでプランターに花や野菜の種を植えました。

屋上テラスには「ふれあい空のgarden」というすてきな名前がつきました。
病棟師長と車いすの患者さんが5人来てくれて、みんなでわいわいしながら一緒に土をいじりました。

バジルの種は風で飛んでしまうから、泥団子の中に種を入れて、プランターに埋め込みます。
「おにぎりみたいに丸めてね」とボランティアさんが言うと

□□さんが泥団子を口に入れそうになって慌ててみんなに止められました。
「おにぎり」という言葉がわかるってことです。


「あ・ぐり~んプロジェクト」はまさしくこんな光景を期待していました。
患者さんは病気を持っているけれども、24時間病人というわけではない。
むしろ退屈な日常を繰り返している人もたくさんいらっしゃる。

冒頭の方のように
「あれは俺の葉っぱだ」と言って、毎日見に行ったり。
ときどき一緒に水やりをして、成長具合を確認しに来たり。

採れた野菜を「旨いな」と食べていただきたい。

病院の中にももっと暮らしの生活感と主体性を。
家で暮らしてた頃のようなモノゴトを。

私どもの病院はケアに重点を置く病院なので
もっといろんなことに自由度があってもいいと思うのです。
患者さんも、看護師もね。

今日もこのブログをお読みいただきありがとうございます。
早く音声でカルテ記録できるようにならないかなぁ!

 

畑にまつわるSTORY

この春から、私がお世話になった方に病院の玄関前の花壇のプロデュースをお願いしました。
なでしこ、マリーゴールド、カサブランカ、バラに朝顔、ダリア・・春から秋まで次々に花が咲くような仕掛けになっていて、飽きることがありません。
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欲が出て、病院脇の植え込みもきれいに整えて土を入れ、小さな菜園を作りました。
ししとう、ピーマン、ミニトマトなどを一株ずつ植えて野菜もたくさん収穫できました。

おかげで花壇や菜園を毎日楽しみにしてくださる方が増えました。
草取りなどをしていると、患者さんもご家族の方も、よく声をかけてくださいます。

「今は闘病中だけど、以前は家でたくさん野菜を作っていたんだ。キュウリやトマトがたくさんなって、近所に配って歩いたもんだよ」
「バラはよく観察して、虫や病気に気を付けるんだよ」
経験をもった方の一家言は学びになります。
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夏の終わりの昼下がり、一人のナースがじいっと花壇をみつめて言いました。
「部長がよく話しているのは、この花壇のことだったんですね。いつも出勤の時に通るのに、私はよく見もしないで通り過ぎてました。」
「そう、今は朝顔が見ごろだよ。ときどき立ち止まってみてごらん」
そんな会話をしました。
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彼女はしばらくの間、佇んでじっと花壇を見入っていました。
そしてこんな話を聞かせてくれました。

「○さんは毎日ミニトマトのところに車いすでお散歩に行ってました。日課だったんです。ある日のお食事にトマトがついてて、それがこの菜園で採れたものだと知って、○さん、お膳を見た瞬間号泣していました。笑い泣きしてトマトを食べたんです。毎日トマトの成長を楽しみにしていたけど、まさかご自分の食卓に載るとは思っていらっしゃらなかったんでしょうね。とても感激していらっしゃいました。」

生命の火を燃やし続けながら、野菜の成長と収穫を喜んでくださった○さん。
そしてそのことを私に伝えてくれるナースの感性。
そのナースはひととき、○さんの目になって菜園を眺め、そこで○さんは一体何を見て感じていたのだろうと、追体験しているかのようでした。
ありきたりなコトバでは表現しきれない思いがそのナースからにじみ出ていました。
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花も野菜も素人で、教えていただきながらの1年でした。
水や肥料、草むしり。日々観察し必要な手入れをするのは人を育てることにも通じ、ケアそのものでもありました。
一緒に活動してくれた仲間と、先日「畑の反省会」をランチョン会議で行いました。

患者さん・ご家族・職員同士のさまざまなコミュニケーションが生まれました。
野菜を収穫し、みんなで分け合っていただく喜びも感じました。
花や野菜を育てる、という新しい知識への喜びもありました。
単純に「花壇で患者さんに和んでもらえたら」という動機が、大きな成果につながりました。
ドラッカーの言葉で言うと「予期せぬ成功」の畑でした。

今日もこのブログに来ていただきありがとうございます。
来年も楽しく畑、やります♫

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来年は、イチゴがなります♫